宇多田ヒカル「道」はなぜTikTokで再び話題に?|10年前の曲が“リアクション動画”で広がり、公式TikTok LIVEにつながった理由
どうも、こんにちは!ロボットしずくです。「令和の虎」に志願者として出演し、オール達成をいただいた、株式会社RPGエンターテイメントの社長です。これまで個人のアカウントは200人以上、企業のアカウントは100社以上を見てきて、初めての投稿でも100万再生を連発。そんなバズる動画を制作してきました。
2016年に発表された宇多田ヒカルさんの「道」が、2026年の秋、TikTokで再び広く使われています。10月21日には、この流れを受けて宇多田ヒカルさんの公式TikTokで、2018年のツアー映像を「道」を中心に届ける「TikTok LIVE」も開催されました。10年前の曲がなぜ今また広がったのか、そして公式がどう応えたのかを、MVやSNS動画を作る立場から読み解きます。
「道」はどんな曲?
「道」は、2016年9月28日に発売された宇多田ヒカルさんの6枚目のアルバム『Fantôme』の1曲目に収められた曲です。公式サイトでは「サントリー天然水」のCMソングとして紹介されています。
曲のテーマを言い換えると、大切な人を失ったあとのさみしさの中で、「自分はひとりではない」と気づいていく歌です。重いテーマを持ちながら、テンポは軽やかで前向きな空気があり、悲しさと明るさが同時にある――この“二面性”が、あとで紹介するTikTokでの使われ方にもつながっています。
あわせて名前が挙がっているのが「あなた」です。2017年12月8日に配信された曲で、映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』の主題歌。Billboard JAPANの記事では、MVの再生回数の伸びとともにHot 100で2位まで上がったことが紹介されています。
TikTokで何が起きている?
THE FIRST TIMESが2026年10月20日に更新した「今バズっている20曲」では、「道」が取り上げられています。紹介されているのは、曲のある歌詞の場面に合わせて、体を大きく動かしてリアクションする動画が流行している、という使われ方です。
同じ10月20日には、宇多田ヒカルさんの公式サイトが、10月21日21時から公式TikTokアカウントで「TikTok LIVE」を行うと発表しました。内容は「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」から「道」を中心にセレクトした約60分の映像で、開催の理由として「あなた」や「道」がTikTokで広く親しまれていることが挙げられています。
さらに、新曲「Intentions」はJR東海「GOOD DAY EXPRESS」キャンペーンのテーマソングで、TikTokなどで楽曲スタンプが使えるようになっています。過去曲で集まった人に、新曲へも触れてもらう流れが同時に用意されているわけです。
広がった理由① 踊らなくていい「リアクション型」
今回の使われ方で私が注目しているのは、振り付けを覚えなくても参加できる点です。ダンスの型ではなく、「この場面で大きく反応する」というルールだけなので、ダンスが苦手な人でも、友だち同士でも、すぐに真似できます。
TikTokで曲が広がるには、「どこで、何をすればいいか」が一瞬でわかることが大切です。リアクション型は、曲の中の“ここ”が合図になるので、使う側が迷いません。踊らずに参加できる企画という意味では、マカロニえんぴつ「運命さがし」の“風景動画”チャレンジとも共通しています。
もうひとつは、先ほど書いた曲の“二面性”です。テーマには切なさがあるのに、音は軽やかで体が動く。だからこそ、大げさなリアクションをしても曲の世界から浮かず、見る人が笑いながらも曲の良さに気づく、という入り口になっていると私は考えています。
広がった理由② 公式が“ライブ映像”で応えた
流行に対して公式が出したのは、新しく撮った動画ではなく、2018年のツアー映像でした。TikTokで曲を知った人の多くは、短い音源しか聴いていません。そこにフルサイズのライブ映像を届けると、「この曲はこう歌われているんだ」と曲そのものを知ってもらうきっかけになります。
しかも、TikTok LIVEはチャットに参加しながら見る形式です。流行に乗って動画を投稿した人が、同じ場所に集まって一緒に見る――“使う人”を“ファン”に近づける動きとして、とても参考になります。
過去に撮った映像が、何年もあとに役に立つ。これは大物アーティストに限った話ではありません。過去曲が再び見つかったときにYouTubeの受け皿があることの大切さも、以前のコラムで紹介しました。
アーティストが真似できること
「道」の例から、これからMV・PVを作るアーティストが取り入れられるのは次の3つです。
- “反応する一瞬”を作っておく:振り付けだけでなく、リアクションやポーズで参加できる場面を曲の中に決めておく。
- 映像を「資産」として残す:MVやライブを撮るときに、フル尺・縦型・別アングルなど、あとで使える形でも撮っておく。
- 流行に“次の入り口”をつなげる:過去曲で人が集まったら、ライブ配信や新曲の音源・スタンプなど、次に触れてほしいものを同時に置いておく。
もちろん、曲が何年もあとに話題になるかどうかは誰にも予想できません。ただ、話題になったときに出せる映像があるかどうかは、撮影のときに準備できます。
私たち「あなたのチーム」では、MV・PVの撮影と一緒に、TikTokやYouTube、Instagram、Threads、Xで使いやすい縦型動画や素材の撮り方まで含めてご提案しています。曲の“反応したくなる一瞬”をどこに作るか、という企画の段階から一緒に考えます。
- 宇多田ヒカル公式サイト「TikTok LIVEの開催が決定」(2026年10月20日)
- THE FIRST TIMES「宇多田ヒカル、TikTok LIVE開催決定!」(2026年10月20日)
- BARKS「宇多田ヒカル、TikTok LIVEを明日開催へ」(2026年10月20日)
- THE FIRST TIMES「今バズっている20曲!TikTokヒットソング&流行りの曲を紹介」(2026年10月20日更新)
- 宇多田ヒカル オフィシャルサイト『Fantôme』作品ページ
- 宇多田ヒカル オフィシャルサイト『初恋』作品ページ
- Billboard JAPAN「活動休止を経て完全復活した宇多田ヒカルが”現在”を歌う理由とは」(2018年1月26日)
※数字や順位は、各記事・発表の時点のものです。曲名・アーティスト名は各権利者のものです。






