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ブラックライトシアターの芸術鑑賞会|暗闇と光で物語をつくる舞台、チェコ生まれの仕掛けと楽しみ方

ブラックライト・パフォーマンス
テクノロジーサーカス集団(未来のサーカス)
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ロボットしずく
しずく社長

どうも、こんにちは!ロボットしずくです。稲川幸雄さんの演劇に参加したあと「劇団ロボットカンパニー」を立ち上げ、40人の仲間と舞台をつくってきた演劇人・パフォーマーです。今は芸術鑑賞プロデュース会社「心」で、学校の芸術鑑賞会をお手伝いしています。
今回のテーマは「ブラックライトシアター」です。真っ暗な舞台の中で、道具がふわりと浮かび、光る人形が動き出す。言葉がほとんどなくても、光と動きと音楽だけで物語が伝わる不思議な舞台です。チェコで育ったこの表現の歴史と仕掛け、そして学校の芸術鑑賞会で楽しむためのコツを、舞台をつくる側の目線から紹介します。

ブラックライトシアターとは?暗闇と光で物語をつくる舞台

ブラックライトシアターは、真っ暗な舞台の上で、光に照らされたものだけを観客に見せる舞台表現です。チェコ政府観光局の公式サイトでは、チェコで発展した「ブラック・シアター」を、光と影、イリュージョン、動きを組み合わせ、視覚効果と音楽でセリフなしに物語を伝える舞台として紹介しています。

ふつうの演劇は、役者の声やせりふが物語を運びます。ところがブラックライトシアターでは、暗闇そのものが舞台装置になります。何もないはずの空間に、帽子や傘や人形が現れ、宙を舞い、また消えていく。客席の子どもたちは「どうなっているの?」と目をこらしながら、いつのまにか物語の中に引きこまれていきます。

言葉に頼らない舞台なので、学年や日本語の得意・不得意に関係なく、同じ驚きを共有しやすいのも特徴です。言葉がなくても伝わる舞台の魅力については、サーカス・パフォーマンスの芸術鑑賞会の記事でも紹介しています。

チェコ・プラハで育った「ブラック・シアター」の歩み

ブラック・シアターの本場として知られるのが、チェコの首都プラハです。チェコ政府観光局のサイトによると、ビロード革命のあと、プラハはブラック・シアターの分野で世界の中心となり、長い間およそ10の劇団が活動して、海外公演でも成功をおさめてきました。

その中心人物のひとりが、イジー・スルネツです。同じサイトでは、スルネツは「ブラック・シアターの父」とみなされ、彼の劇場は世界で最も古く、最も認められているブラック・シアターのひとつと紹介されています。国際人形劇連盟(UNIMA)の人形劇百科事典によると、スルネツはプラハの演劇アカデミー(DAMU)で人形劇を学んでいた1956〜1960年に、初めてこの技法を試しました。1961年に仲間とグループを立ち上げ、1964年に「黒い劇場(Černé divadlo)」が生まれています。

人形劇、パントマイム、そして暗闇の技法を組み合わせた表現は、劇場の中で何十年もかけて磨かれてきました。「暗い舞台」というと現代的な演出に聞こえますが、実は人形劇の伝統の上に育った、歴史のある舞台芸術なのです。

ロボットしずく
しずく社長
しずくのワンポイント事前学習で、地図帳でチェコとプラハの場所を探してみるのもおすすめです。「遠い国で生まれた舞台を、今日この体育館で見るんだよ」と伝えるだけで、子どもたちの見る目が少し変わりますよ。

仕掛けを知るともっと面白い|黒い幕と「消える」演者

では、なぜ道具が宙に浮いて見えるのでしょうか。プラハで活動するブラックライトシアターの劇団HILTは、公式サイトでその基本を「ブラック・キャビネット」の原理として説明しています。舞台・幕・衣装を黒い素材でおおい、ねらった光で選んだものだけを照らす。すると、黒い服の演者は背景にとけこんで見えなくなり、操っている人が暗闇に消えることで、操られているものが生きているように見えるのです。

同じサイトでは、もともとのブラック・キャビネットの技法には紫外線ランプや蛍光塗料は必要なかったこと、紫外線で光る素材を使う「ルミネッセンス・シアター」は関連する別の流れで、現代の舞台では両方が組み合わされることが多いことも紹介されています。

日本の子どもたちにとって身近な例でいえば、文楽で黒い衣装を着た人形遣いを思い浮かべるかもしれません。HILTのサイトでも文楽との共通点にふれつつ、「直接の祖先と言うのは単純すぎる」としています。それでも、演じる人が一歩引くことで、ものに命が宿るという考え方には、国を越えて通じ合うものがあると私は感じます。

演劇人として私が面白いと思うのは、この舞台が「見せる」ことと同じくらい「見せない」ことに力を注いでいる点です。光を当てる場所を一つ間違えるだけで、魔法はすぐに解けてしまいます。暗闇の中の演者は、観客から見えないところで、ミリ単位の正確さで動いています。

中学生・高校生におすすめの見方と、事前・事後の工夫

ブラックライトシアターは、ただ「きれいだった」で終わらせるにはもったいない舞台です。特に中学生・高校生には、次のような見方をすすめています。

事後学習では、「いちばん驚いた場面」と「その場面で、見えないところで何が起きていたと思うか」をセットで書いてもらうのがおすすめです。驚きと想像を言葉にすることで、鑑賞が一段深くなります。感想文の書かせ方は芸術鑑賞会の感想文の書かせ方の記事もあわせてご覧ください。

体育館で行うときの準備|「暗さ」が舞台の命

ブラックライトシアターにとって、いちばん大切な舞台装置は「暗さ」です。体育館で行う場合は、窓やすき間からの外の光をどこまでさえぎれるかで、見え方が大きく変わります。暗幕の状態、非常口の誘導灯の位置、客席の並べ方などは、事前に出演者側と相談しておくと安心です。くわしいチェックポイントは体育館で芸術鑑賞会をするときの準備の記事にまとめています。

また、暗闇の中で始まる舞台は、小さな子どもや暗い場所が苦手な子にとっては少しどきどきするものです。「これから会場がとても暗くなるけれど、それが舞台の仕掛けなんだよ」と事前に伝えておくと、安心して楽しめます。

ロボットしずく
しずく社長
しずくのワンポイント開演前に一度だけ、照明を落として「これが本番の暗さです」と体験しておく方法もあります。暗さに慣れておくと、本番では驚きのほうに集中できます。どこまで暗くできるかは、出演者側と相談してみてください。

「心」の演目の中では、ブラックライトショー BLACK CIRCUSが、暗闇を生かしたパフォーマンスで、道具や人が次々と空中に浮かび、仮面をつけた人物たちによるサーカスが展開される舞台です。暗闇で生きる男の物語で、笑いと涙の両方があります。上演時間は80分で、中学校・高校が対象。体育館・ホールで公演します。

芸術鑑賞プロデュース会社「心」では、ブラックライトショーをはじめ、光やテクノロジーを使ったパフォーマンスの舞台を、学年や会場、学習のねらいに合わせてご提案しています。「言葉がなくても全校に届く舞台を探している」「体育館をどこまで暗くできるか相談したい」など、お気軽にご相談ください。

参考にした情報

※歴史や取り組みの内容は、記事作成時点で公開されている情報をもとにしています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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