
どうも、こんにちは!ロボットしずくです。稲川幸雄さんの演劇に参加したあと「劇団ロボットカンパニー」を立ち上げ、40人の仲間と舞台をつくってきた演劇人・パフォーマーです。今は芸術鑑賞プロデュース会社「心」で、学校の芸術鑑賞会をお手伝いしています。
芸術鑑賞会のあとによく出される宿題が「感想文」です。でも、原稿用紙を前に「楽しかった」「すごかった」から先が書けない子もいますよね。今回は、舞台をつくる側の目線から、感想文が書きやすくなる問いかけと、事後学習の進め方を考えてみます。
感想文が「楽しかった」で止まる理由
舞台を見た直後の子どもの心の中には、たくさんのものが動いています。笑った場面、びっくりした音、胸がぎゅっとなったせりふ。けれど、それをいきなり「感想文」という形にするのは、大人でも簡単ではありません。
私は、感想文が書けない理由の多くは「感じなかったから」ではなく、感じたことを言葉にする手がかりがないからだと考えています。「何でもいいから感じたことを書きましょう」と言われると、かえって何を書けばいいのか分からなくなるものです。
だからこそ、感想文の前に少しだけ「手がかり」を用意してあげる。それだけで、子どもたちの書く文章はぐっと具体的になります。
学習指導要領にある「事後の活動」
芸術鑑賞会は、学習指導要領では特別活動の学校行事のひとつ「文化的行事」にあたります(くわしくは日本の芸術鑑賞会の位置づけで紹介しています)。
小学校・中学校の学習指導要領(平成29年告示)の特別活動では、学校行事の内容の取扱いとして「体験活動を通して気付いたことなどを振り返り,まとめたり,発表し合ったりするなどの事後の活動を充実すること」と書かれています。
つまり、見て終わりではなく、振り返る・まとめる・発表し合うところまでがひとつながりの活動だということです。感想文はその「まとめる」の代表的な方法ですが、方法はそれだけではありません。
また、文化庁が文化芸術団体を学校に派遣する学校巡回公演では、公演とは別にワークショップを行い、鑑賞指導や実技指導、共演の練習などをすることが示されています。鑑賞の前後に「学ぶ時間」を組み合わせる考え方は、国の事業の中にも取り入れられているのです。
書く前の問いかけで、感想文は変わる
私がおすすめしたいのは、原稿用紙を配る前に、いくつかの「問いかけ」をしてメモを取らせることです。たとえば、こんな問いです。
- いちばん心に残った場面はどこ?そのとき、舞台の上では何が起きていた?
- 覚えているせりふや歌はある?どうしてそれを覚えていると思う?
- もし自分がその登場人物だったら、どうしたと思う?
- 音・光・衣装・小道具で、気づいた工夫はあった?
- 出演者にひとつだけ質問できるとしたら、何を聞きたい?
こうした問いに答えていくと、「楽しかった」の中身が少しずつ見えてきます。たとえば「主人公がひとりぼっちになった場面で、音楽が急に静かになったのがさびしかった」。そんな一文が出てきたら、もう立派な感想文の書き出しです。
学年に合わせて「書くかたち」を変える
感想は、必ずしも長い作文でなくてもかまいません。学年に合わせて、書くかたちを変えてみるのもひとつの方法です。
- 小学校低学年:いちばん好きな場面の絵と、ひとことのコメント。絵にすると、言葉にならない気持ちも表せます。
- 小学校高学年:「場面」と「そう感じた理由」をセットで書く。理由まで書けると、文章に筋が通ります。
- 中学生:舞台のテーマと、自分の生活や経験とのつながりを書く。SNSや家族、友だちなど、身近なテーマの演目ならなおさらです。
- 高校生:演出や演技に目を向けた「劇評」や、出演者にあてた手紙の形。作品を一歩引いて見る視点が育ちます。
事前学習でどんな準備をしておくと鑑賞が深まるかは、小学校の芸術鑑賞会の記事でも紹介しています。見る前に少し知っておくと、見たあとの言葉も増えていきます。
書いたあとが本番|共有して、出演者に届ける
感想文は、書いて提出したら終わり、ではもったいないと私は思います。学習指導要領にも「発表し合ったりする」とあるように、友だちの感想を聞くことで「同じ舞台を見ても、感じ方はこんなに違うんだ」と気づくことができます。
たとえば、クラスで感想を読み合う、廊下に掲示する、学年通信に一部を載せる、といった方法があります。そしてもうひとつ、ぜひ考えてほしいのが出演者に感想を届けることです。
舞台に立つ人間にとって、子どもたちからの感想は、何よりの励みになります。「あの場面で泣きました」「主人公の気持ちが分かりました」。そんな言葉が、次の舞台をつくる力になるのです。
心に残る舞台は、感想文の言葉も自然と引き出してくれます。たとえば星の王子様とロボットは、劇団四季出身の役者が主役を務める現代版ミュージカル演劇です。歌と芝居で描かれる物語は、「どの場面が心に残った?」という問いかけにもつなげやすい演目です。
芸術鑑賞プロデュース会社「心」では、演劇・音楽・伝統芸能・パフォーマンス・講演会まで20を超える演目の中から、事前・事後の学習につなげやすい演目もご提案しています。学年や学習のテーマに合わせた演目選びについて、お気軽にご相談ください。
- 文部科学省「平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)」(小学校・中学校学習指導要領 特別活動)
- 宮城県「文化庁『学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業』及び『舞台芸術等総合支援事業(学校巡回公演)』」
※制度や事業の内容は、記事作成時点で公開されている情報をもとにしています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。







