
どうも、こんにちは!ロボットしずくです。稲川幸雄さんの演劇に参加したあと「劇団ロボットカンパニー」を立ち上げ、40人の仲間と舞台をつくってきた演劇人・パフォーマーです。今は芸術鑑賞プロデュース会社「心」で、学校の芸術鑑賞会をお手伝いしています。
理科や算数、プログラミングと、演劇や音楽。一見すると遠いもののようですが、じつは舞台の上ではいつも一緒に働いています。今回は、学校で取り組まれている「STEAM教育」の考え方をヒントに、科学やテクノロジーを使った舞台を芸術鑑賞会でどう生かすかを考えてみます。
STEAM教育の「A」は、アートだけじゃない
「STEAM(スティーム)教育」という言葉を耳にしたことはありますか?STEAMは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)の「STEM」に、「A」を加えた言葉です。
この「A」について、文部科学省は「芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲でAを定義し」と説明しています。そして、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための、教科等横断的な学習として推進しています。
私はこの説明を読んで、少しうれしくなりました。理科や算数の学びと、芸術や人の暮らしを、別々のものとして切り離さない。それは、舞台をつくる側から見ても、とても自然な考え方だからです。照明も音響も舞台装置も、実は科学と技術のかたまり。けれど、それを使って「人の心を動かす」ところに芸術があります。
舞台は、科学とアートが出会う場所
舞台づくりでは、いつも「どうすればこの場面が一番伝わるか」を考えます。光をどの角度から当てるか、音をどのタイミングで鳴らすか。答えはひとつではなく、試しては直し、また試す。その繰り返しです。
これは、小学校のプログラミング教育で育てたい「プログラミング的思考」によく似ています。文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」では、2020年度から小学校でプログラミング教育が導入されたことにふれ、プログラミング的思考を、意図する活動を実現するために動きや記号の組合せを考え、どう改善すればより意図に近づくのかを論理的に考えていく力、と説明しています。
「こうしたい」という思いがあって、それを実現するために組み合わせを考え、うまくいかなければ改善する。舞台づくりも、プログラミングも、根っこは同じだと私は思います。だからこそ、科学やテクノロジーを使った舞台は、STEAMの「つながり」を子どもたちが体で感じられる教材になるのです。
科学・プログラミング・テクノロジーの舞台、どう選ぶ?
STEAMの視点で芸術鑑賞会を考えるとき、演目の選び方には大きく二つの方向があると思います。
- 「学び」が前に出る授業型の舞台:科学の実験やプログラミングを、ショーとして見せながら仕組みも伝えるタイプ。理科や情報の学習とつなげやすいのが特長です。
- 「表現」が前に出るテクノロジーの舞台:光やLEDなどの技術を使い、物語やパフォーマンスとして心を動かすタイプ。「技術は人を感動させる道具にもなる」ことが伝わります。
たとえばプログラミング実験ショーは、のぞみ先生による授業型エンタメショーです。演目ページでは、プログラミングで作品を制作し、AR、VR、デジタルアートを開発していることが紹介されています。一方、テクノロジーサーカス集団は「未来のサーカス」として、テクノロジーで魅せるパフォーマンスです。
どちらが良い、ということではありません。学年や、鑑賞会のあとにどんな学習につなげたいかで選ぶのがおすすめです。ジャンルごとの特徴は芸術鑑賞会の演目の選び方でもまとめています。
学年別|STEAMにつなげる見方のヒント
同じ舞台でも、学年によって「どこを見るか」を少し変えると、学びの深さが変わります。
- 小学校低学年:まずは「ふしぎ!」「きれい!」を思いきり味わうこと。驚いた気持ちそのものが、科学への興味の芽になります。
- 小学校高学年:「どうやって動いているのかな?」と仕組みを想像してみる。プログラミングの授業で学んだ「順番」や「くり返し」と結びつけると、ぐっと身近になります。
- 中学生:技術がどんな「表現」のために使われているかに注目。光の色、音の重なり、動きのタイミングなど、作り手の工夫を言葉にしてみましょう。
- 高校生:技術と人、社会との関係まで考える。新しい技術は、私たちの暮らしや感じ方をどう変えるのか。探究的な学習のテーマにもつながります。
見る前の準備については、芸術鑑賞会の事前学習の進め方も参考にしてください。「今日は仕組みにも注目してみよう」とひと言添えるだけで、子どもたちの見方は変わります。
鑑賞会を「教科横断の学び」にするコツ
文部科学省がSTEAM教育を教科等横断的な学習として位置づけているように、芸術鑑賞会も、ひとつの教科だけで終わらせない工夫ができます。
- 理科・算数・数学:光や音の性質、動きのタイミングや数の規則など、舞台の中に見つけた「理科・算数」を書き出す。
- 情報・技術:「この演出をプログラムで作るなら、どんな順番の命令になる?」を考えてみる。
- 図工・美術・音楽:心に残った光の色や音を、絵や音で表現し直してみる。
- 国語・総合的な学習:「技術は人を幸せにできるか」など、問いを立てて話し合う。
もちろん、全部やる必要はありません。ひとつだけでも、鑑賞会と日ごろの授業が「つながった」と子どもたちが感じられれば、それで十分だと私は思います。
「理科は苦手」「アートはよく分からない」という子にとっても、舞台は両方の入り口になれます。そして働く大人の姿に出会うことは、将来を考えるきっかけにもなります(キャリア教育と芸術鑑賞会もあわせてどうぞ)。
芸術鑑賞プロデュース会社「心」では、プログラミングや科学をショーとして届ける授業型の演目から、テクノロジーや光を使ったパフォーマンスまで、STEAMの学びにつなげやすい演目もご提案しています。学年や学習のテーマに合わせた演目選びについて、お気軽にご相談ください。
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