
どうも、こんにちは!ロボットしずくです。稲川幸雄さんの演劇に参加したあと「劇団ロボットカンパニー」を立ち上げ、40人の仲間と舞台をつくってきた演劇人・パフォーマーです。今は芸術鑑賞プロデュース会社「心」で、学校の芸術鑑賞会をお手伝いしています。
今回のテーマは、クラシック音楽・オーケストラの芸術鑑賞会です。「クラシックは難しそう」「子どもが飽きてしまわないか心配」という声を聞くことがあります。でも、ちょっとした準備と聴き方の工夫で、クラシックはぐっと身近になります。学習指導要領の「鑑賞」の考え方や、アメリカのカーネギーホールが続けている子ども向けプログラムも参考にしながら、舞台をつくる側の目線で考えてみます。
クラシックが「難しそう」に見える理由
クラシック音楽が「難しそう」と感じられるのは、曲そのものが難しいからというより、「どこを聴けばいいのか分からない」からだと私は考えています。歌詞がない曲も多く、1曲が長いこともあります。手がかりがないまま長い曲を聴くと、大人でも集中が途切れてしまいます。
反対に言えば、聴く手がかりが一つあるだけで、クラシックは一気に楽しくなります。「この音はどの楽器?」「今、メロディーを受け持っているのは誰?」。演劇でいえば、登場人物の名前と関係を知ってから観るのと同じです。舞台の上で鳴っている音の「登場人物」を知ることが、クラシック鑑賞の入り口になります。
音楽の授業の「鑑賞」とつながる鑑賞会
クラシックの鑑賞会は、音楽の授業で学ぶ「鑑賞」ともつながっています。文部科学省の資料で確かめてみましょう。
- 小学校の鑑賞の学習:平成29年告示の小学校学習指導要領解説(音楽編)では、鑑賞の学習として「曲や演奏のよさなどを見いだし,曲全体を味わって聴くこと」が示されています。
- 学年ごとの鑑賞教材:平成20年改訂の小学校学習指導要領では、第1・2学年は「楽器の音色や人の声の特徴を感じ取りやすく親しみやすい」曲、第3・4学年は「独奏,重奏,独唱,重唱を含めたいろいろな演奏形態による楽曲」、第5・6学年は「楽器の音や人の声が重なり合う響きを味わうことができる,合奏,合唱を含めたいろいろな演奏形態による楽曲」を扱うことが示されていました。
楽器の音色を知り、少人数の演奏から大勢で重なり合う響きへ。学年が上がるにつれて聴くポイントが広がっていく流れは、クラシックの鑑賞会の組み立て方を考えるときにも参考になります。
海外の例|カーネギーホールの「リンク・アップ」
海外の取り組みで私が注目しているのが、ニューヨークのカーネギーホールにあるウェイル音楽研究所の「リンク・アップ(Link Up)」です。カーネギーホールの発表によると、40シーズン以上続いている、同研究所で最も長く続く教育プログラムで、対象は3〜5年生です。
特徴は、子どもたちが「聴くだけ」で終わらないことです。1年間をかけて教室でカリキュラムに取り組み、最後のコンサートでは、客席にいながらプロのオーケストラと一緒に歌ったり、リコーダーやバイオリンを演奏したりします。2026年5月には、ニューヨーク周辺の1万1,000人を超える子どもたちが、カーネギーホールでの6回のコンサートに参加すると発表されていました。提携するオーケストラは120近くにのぼり、アメリカ各地のほか、日本を含む複数の国にも広がっているそうです。
日本の芸術鑑賞会で1年がかりの準備をするのは簡単ではありません。それでも、「事前に少し学び、当日は自分も音楽に参加する」という考え方は、すぐに取り入れられるヒントだと思います。
楽器紹介と参加型の工夫で「聴きどころ」をつくる
クラシックの鑑賞会を楽しくするために、私がおすすめしたい工夫は次の3つです。
- 楽器を一つずつ紹介してもらう:演奏の前に、楽器ごとに短いフレーズを聴かせてもらうと、子どもたちは「さっきの音だ!」と聞き分けながら曲を楽しめます。出演者との打ち合わせで、楽器紹介の場面があるかを確かめておくとよいでしょう。
- 知っている曲を入り口にする:テレビやCMなどで耳にしたことのある曲は、クラシックへの心強い入り口です。「この曲、知ってる?」から始めると、客席の空気がぐっとやわらかくなります。
- 手拍子や歌で参加する場面をつくる:リンク・アップのように、子どもたちが音楽に加われる場面があると、「聴く」が「参加する」に変わります。どんな参加ができるかは演目によって違うので、事前に相談しておきましょう。
事前学習でどこまで話しておくかについては、芸術鑑賞会の事前学習の進め方もあわせて読んでみてください。
学年別|クラシックの楽しみ方
同じ演奏でも、学年によって聴きどころの渡し方を変えると、受け取り方が変わります。
- 小学校低学年:「いちばん高い音の楽器はどれかな?」など、探すものを一つだけ伝えます。音楽に合わせて体を揺らしたくなるのは自然なことなので、周りの迷惑にならない範囲で見守ってあげてください。
- 小学校高学年:「メロディーがどの楽器から、どの楽器へ移っていくか」に耳を向けさせると、音が重なり合う響きの面白さに気づけます。
- 中学生:演奏者どうしが、目線や呼吸でどうタイミングを合わせているかに注目させてみましょう。合唱コンクールや部活動の合奏にも通じる発見があります。
- 高校生:曲が作られた時代や、作曲家が込めた思いを少し調べてから聴くと、音楽を多面的に味わう力につながります。
拍手のタイミングと、鑑賞のあとの楽しみ
クラシックの鑑賞会でよく話題になるのが拍手のタイミングです。いくつかの部分(楽章)に分かれた曲では、曲の途中の区切りでは拍手をせず、最後にまとめて拍手をする習慣があります。ただ、子どもたちにとって大切なのは、ルールを完璧に守ることより、「すてきだった」という気持ちを拍手で届けることです。迷ったら、演奏者が楽器を下ろして客席を向いたときに拍手をすればいい、と伝えておけば安心です。鑑賞マナー全般については芸術鑑賞会の鑑賞マナーの記事でも紹介しています。
たとえばクラシックの魔法使いは、SNSで合計50万人のフォロワーを持つクラシックユニットで、体育館・ホールでの公演に対応しています。
芸術鑑賞プロデュース会社「心」では、クラシックをはじめ、演劇・音楽・伝統芸能・パフォーマンス・講演会まで20を超える演目の中から、学年や授業のねらいに合った音楽の舞台をご提案しています。「クラシックを身近に感じてほしい」「音楽の授業とつなげたい」など、お気軽にご相談ください。
- Carnegie Hall「11,000 NYC Students Participate in Interactive Link Up Concerts at Carnegie Hall」(2026年4月9日)
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 音楽編」
- 文部科学省「小学校学習指導要領 第2章 各教科 第6節 音楽」(平成20年改訂)
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