
どうも、こんにちは!ロボットしずくです。稲川幸雄さんの演劇に参加したあと「劇団ロボットカンパニー」を立ち上げ、40人の仲間と舞台をつくってきた演劇人・パフォーマーです。今は芸術鑑賞プロデュース会社「心」で、学校の芸術鑑賞会をお手伝いしています。
11月には「家族の日」があります。家族への「ありがとう」は、近すぎてなかなか言葉にしにくいものですよね。今回は、家族をテーマにした演劇を芸術鑑賞会で見るときに、道徳の学習とどうつなげるか、そして一人ひとりちがう家族のかたちにどう配慮するかを、舞台をつくる側の目線から考えてみます。
11月は「家族の日」|家族を考えるきっかけの季節
内閣府は平成19年度から、毎年11月の第3日曜日を「家族の日」、その前後それぞれ1週間を「家族の週間」と定めています。子どもを家族が育み、家族を地域社会が支えることの大切さについて、理解を深めてもらうための期間です。2026年の「家族の日」は11月15日にあたります。
海外に目を向けると、国際連合も1993年の総会決議で、毎年5月15日を「国際家族デー(International Day of Families)」としています。国や文化がちがっても、家族について考える日が設けられているのは興味深いことです。
秋は芸術鑑賞会や文化祭など、文化的な行事が多い時期でもあります。「家族の日」が近いこの季節に、家族をテーマにした舞台を見ることは、ふだん照れくさくて口にしない気持ちを見つめ直すきっかけになると私は考えています。
道徳の「家族愛,家庭生活の充実」と舞台のつながり
小学校・中学校の学習指導要領の「特別の教科 道徳」には、「家族愛,家庭生活の充実」という内容項目があります。たとえば小学校1・2年生では「父母,祖父母を敬愛し,進んで家の手伝いなどをして,家族の役に立つこと」、中学校では「父母,祖父母を敬愛し,家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと」と示されています。
道徳の授業では、読み物教材を読んで登場人物の気持ちを考えます。演劇はそれを、目の前の生身の人間が演じてくれるものです。せりふの間、声のふるえ、背中の向け方。そうしたものから、言葉にされていない気持ちまで伝わってきます。
私が舞台をつくる側として大切にしているのは、「こう感じなさい」と押しつけず、見る人が自分で気づく余白を残すことです。家族への感謝も、だれかに言われて書くより、舞台を見て「あ、うちもそうだ」と自分で思えたときのほうが、ずっと心に残るはずです。
家族のかたちはさまざま|鑑賞会で気をつけたいこと
家族をテーマにした鑑賞会で、いちばん気をつけたいのは、子どもたち一人ひとりの家族のかたちがちがうということです。ひとり親の家庭、祖父母と暮らす家庭、きょうだいの多い家庭、施設で暮らしている子ども。教室には、さまざまな背景の子どもがいます。
そのため、事前・事後の活動では「お父さん・お母さんへの手紙」のように、特定の家族像を前提にした課題は慎重に扱いたいところです。たとえば「身近な大切な人へ」「いつも支えてくれる人へ」と相手を広げておくと、どの子も無理なく自分の気持ちを書くことができます。
また、舞台の内容によっては、家族との関係に悩んでいる子にとってつらく感じる場面があるかもしれません。演目を選ぶ段階で内容を確認しておき、気になる子には担任や養護教諭が事前に声をかけておくなど、学校全体で見守る体制をつくっておくと安心です。
学年別|事前学習・事後学習のアイデア
同じ家族のテーマでも、学年によって受け止め方は大きく変わります。目安として、こんな進め方が考えられます。
- 小学校低学年:事前に「おうちの人がしてくれてうれしかったこと」を一つ思い出しておきます。事後は、心に残った場面の絵と、ひとことのメッセージを描いてみましょう。
- 小学校高学年:事後に「登場人物の家族は、どんな気持ちで主人公を見ていたと思う?」と、視点を変えて考える時間をとります。自分以外の立場を想像する練習になります。
- 中学生:反抗期まっただ中の生徒も多い年ごろです。「家族にうまく言えないこと」をテーマに、舞台の主人公と自分を重ねて話し合ってみましょう。無理に発表させず、書くだけでもかまいません。
- 高校生:進学や就職で、家を離れることを考え始める時期です。「家族から受け取ってきたもの」「これから自分がつくりたい家庭」について考える事後学習は、キャリア教育にもつながります。
感想の引き出し方については、芸術鑑賞会の感想文の書かせ方の記事でもくわしく紹介しています。また、思春期の生徒に舞台をどう届けるかは中学校の芸術鑑賞会の記事も参考にしてください。
家族をテーマにした演目を選ぶポイント
家族をテーマにした演目を選ぶときは、次のような点を確かめておくと安心です。
- 笑いがあるか:重い場面ばかりだと、子どもたちは身構えてしまいます。笑える場面があるからこそ、最後の感動が素直に届きます。
- 子どもの目線で描かれているか:大人の説教ではなく、主人公の本音から物語が進む作品は、子どもたちが自分ごととして見やすくなります。
- 見たあとに話し合える問いが残るか:答えをすべて舞台が言ってしまうより、「自分ならどうする?」と考えられる作品のほうが、事後学習につなげやすくなります。
「心」の朝、起きたらロボットになっていたは、高校生の本音がプロジェクターに映し出される演出があり、最後は家族に対する感謝の気持ちが自然と出てくる舞台です。また、僕の生きた時間は、SNSのいじめをテーマに、命と言葉の重さを考える舞台です。
芸術鑑賞プロデュース会社「心」では、家族への感謝を描く演劇をはじめ、命や心をテーマにした舞台や講演もご用意しています。「家族の日」の時期に合わせたい、道徳の学習とつなげたいなど、学年や学校のねらいに合わせた演目選びについて、お気軽にご相談ください。
- 三重県「家庭の日」(内閣府の「家族の日」「家族の週間」の紹介)
- 三重県「学習指導要領(特別の教科 道徳の指導内容を抜粋)」
- 文部科学省「平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)」
- UNFPA(国連人口基金)「International Day of Families」
※制度や事業の内容は、記事作成時点で公開されている情報をもとにしています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。







