
どうも、こんにちは!ロボットしずくです。稲川幸雄さんの演劇に参加したあと「劇団ロボットカンパニー」を立ち上げ、40人の仲間と舞台をつくってきた演劇人・パフォーマーです。今は芸術鑑賞プロデュース会社「心」で、学校の芸術鑑賞会をお手伝いしています。
もうすぐ「読書週間」がはじまります。秋は、図書室や学級文庫で本に手をのばす子どもたちが目に浮かぶ季節ですね。今回は、本の中の物語が舞台になったとき、子どもたちの「読む」と「見る」がどうつながるのか。原作と舞台を比べる楽しみ方や、事前・事後学習のアイデアを、舞台をつくる側の目線から考えてみます。
今年で80回目の「読書週間」|秋は物語に出会う季節
群馬県の発表によると、2026年の「読書週間」は10月27日(火)から11月9日(月)までで、今年で80回目を迎えます。主催は公益社団法人読書推進運動協議会です。
読書週間と芸術鑑賞会。一見すると別々の行事に見えますが、私はこの二つはとても相性がいいと思っています。どちらも、子どもたちが「自分とは違う誰かの人生」をのぞきこむ時間だからです。
本を読むとき、子どもたちは文字から登場人物の顔や声、景色を自分の頭の中に思い描きます。舞台を見るときは、役者の声や体、音楽や光を通して、その世界が目の前に立ち上がります。入り口は違っても、物語の中に入りこむという体験は同じです。
「子ども読書の日」と世界の本の日|イギリスでは登場人物に変身
日本では、平成13年(2001年)12月12日に公布された「子どもの読書活動の推進に関する法律」によって、4月23日が「子ども読書の日」と定められました。国立国会図書館の紹介ページでは、国と地方公共団体が子どもの読書活動を進めるための計画をつくり、公表することになっていると説明されています。
4月23日は、ユネスコが「世界図書・著作権デー」として本を祝う日でもあります。ユネスコはこの日を、本が世代と文化をつなぐ「橋」であることを認める日として紹介しています。
海外の学校の取り組みで私が楽しいと感じるのが、イギリスの「World Book Day(ワールド・ブック・デー)」です。保育・幼児教育の専門誌『Nursery World』によると、World Book Dayは1997年に始まり、子どもたちに本と読書を好きになってもらうことを目的にしています。この日は伝統的に、子どもも大人もお気に入りの本の登場人物に仮装して過ごすそうです。
本の登場人物になりきる。これはまさに、演劇の入り口です。物語の人物の服を着て、その人らしく歩いてみる。それだけで、文字で読んでいたときには気づかなかった気持ちが見えてくることがあります。
物語が舞台になると何が変わる?「読む」と「見る」の違い
同じ物語でも、本と舞台では届き方がまったく違います。舞台をつくる側の人間として、私が感じている違いは次の3つです。
- 想像が「形」になる:本の中の登場人物は、読む人の数だけ顔があります。舞台では、それが一人の役者の姿になります。「思っていたのと同じ」も「全然違う」も、どちらも大切な発見です。
- 時間の流れが共有される:本は自分のペースで読めますが、舞台は全員が同じ時間を一緒に過ごします。隣の友だちが笑ったり、息をのんだりするのを感じながら物語を味わえるのは、舞台ならではです。
- つくり手の「読み方」が見える:舞台は、演出家や役者がその物語をどう読んだかの答えでもあります。どの場面をふくらませ、どこを省いたのか。そこに注目すると、物語の新しい一面が見えてきます。
たとえば、サン=テグジュペリの『星の王子さま』は、ブリタニカ百科事典によると1943年4月にフランス語版と英語版が出版された物語です。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』は1865年に出版され、もともとはキャロルがリデル家の3姉妹に語って聞かせたお話だったと紹介されています。こうした長く読み継がれてきた作品は、時代ごとに、さまざまな形で舞台や映像にもなってきました。
原作は先に読む?あとで読む?学年別の事前・事後学習
先生方からよく出る迷いが「原作を先に読ませると、ネタバレになるのでは?」というものです。私は、どちらにもよさがあると考えています。大切なのは、「比べる」という視点を子どもたちに渡しておくことです。事前学習の考え方は芸術鑑賞会の事前学習の進め方でも紹介しています。
- 小学校低学年:絵本や読み聞かせで、物語の入り口だけを知っておく程度で十分です。「このあと、どうなると思う?」と予想して、続きは舞台で確かめましょう。
- 小学校中学年・高学年:原作の一場面を読んでおき、「舞台ではこの場面をどう見せるかな?」と考えてから鑑賞すると、演出の工夫に目が向きます。
- 中学生・高校生:鑑賞のあとに原作を読み、「舞台で変えられていたところ」「足されていたところ」を探してみましょう。なぜ変えたのかを考えることは、作品を深く読む練習にもなります。
事後学習では、学校図書館と連携して、舞台に関係する本や同じ作者の本を集めた「鑑賞会コーナー」をつくるのもおすすめです。舞台を見て心が動いた直後は、子どもが本を手に取る絶好のタイミングです。感想のまとめ方については芸術鑑賞会の感想文の書かせ方もあわせてご覧ください。
名作の名前を持つ演目で、本と舞台をつなぐ
「心」の演目には、よく知られた物語の名前をタイトルに持つ舞台があります。星の王子様とロボットは、劇団四季出身の役者が主役を務める現代版ミュージカル演劇です。不思議の国のアリスとロボットは、登校拒否になった少女が「声」を取り戻すまでを描く、笑って泣けるパフォーマンス演劇。銀河鉄道の夜は、砂絵(サンドアート)がある演劇です。
どの演目も「現代版」や独自の演出で届ける舞台なので、原作とまったく同じではありません。だからこそ、原作を読んだ子どもたちには「どこが同じで、どこが違う?」という楽しみが生まれます。また、朗読とサンドアートを組み合わせた内容も紹介されているサンドアートショー・講演会は、言葉と絵で物語を味わう時間になります。
芸術鑑賞プロデュース会社「心」では、読書活動や国語の学習とつなげやすい物語の舞台を、学年や学習のねらいに合わせてご提案しています。「読書週間に合わせて物語の世界を体験させたい」「図書館の取り組みと連携したい」など、お気軽にご相談ください。
- 群馬県「読書週間」に関する発表(2026年)
- 国立国会図書館サーチ リサーチ・ナビ「子どもの読書活動の推進に関する法律」
- UNESCO「World Book and Copyright Day」
- Nursery World「Nurseries and schools celebrate World Book Day」
- Britannica「The Little Prince: Analysis and reception」
- Britannica「Alice's Adventures in Wonderland」
※制度や取り組みの内容は、記事作成時点で公開されている情報をもとにしています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。





