
どうも、こんにちは!ロボットしずくです。稲川幸雄さんの演劇に参加したあと「劇団ロボットカンパニー」を立ち上げ、40人の仲間と舞台をつくってきた演劇人・パフォーマーです。今は芸術鑑賞プロデュース会社「心」で、学校の芸術鑑賞会をお手伝いしています。
2026年は、童話作家・詩人の宮沢賢治が生まれてから130年の年です。小学校の国語で「やまなし」に出会った人も多いのではないでしょうか。今回は、賢治の物語を芸術鑑賞会の舞台で味わうときに、国語の授業や星の学習とどうつなげると楽しくなるのかを、舞台をつくる側の目線から考えてみます。
2026年は宮沢賢治の生誕130年
宮沢賢治は、1896年(明治29年)8月27日に岩手県で生まれ、1933年(昭和8年)9月に37歳で亡くなりました。数えてみると、2026年はちょうど生誕130年にあたります。ふるさとの岩手県花巻市でも、企画展「生誕130年 宮沢賢治展」の開催が案内されるなど、記念の年として賢治の作品にあらためて光が当たっています。
賢治の作品には、方言や擬音語、聞いたことのない不思議な言葉がたくさん出てきます。文字で読むと少しむずかしく感じる子もいますが、声に出したり、目の前で演じられたりすると、その言葉のリズムや手ざわりがぐっと伝わってきます。私は、賢治の物語は「読む」だけでなく「聞く」「見る」ことで、もうひとつの顔を見せてくれると考えています。記念の年は、その顔に出会ういいきっかけになるはずです。
国語の「やまなし」と、舞台の『銀河鉄道の夜』
光村図書の小学6年の国語教科書「国語 六 創造」には、宮沢賢治の「やまなし」と、賢治の生き方を紹介する資料「イーハトーヴの夢」が載っています。「作品の世界を想像しながら読み、考えたことを伝え合おう」という単元で扱われる教材です。
「やまなし」は、小さな谷川の底を、5月と12月の二つの場面で描いた物語です。かにの子どもたちの会話、魚をとっていくかわせみ、そして水の中に落ちてくるやまなし。短いお話ですが、光や水の色、音の表現がとても豊かで、読む人がそれぞれの頭の中で映像をつくることになります。
この「頭の中で映像をつくる」体験は、舞台を見る体験ととても近いものです。演劇は、何もない空間に、照明や音、役者の体を使って別の世界を立ち上げます。教科書で賢治の言葉に出会った子どもたちが、舞台で『銀河鉄道の夜』を見ると、「自分が想像した世界」と「舞台の人たちがつくった世界」を比べることができます。原作と舞台を比べて楽しむ見方は、読書週間と芸術鑑賞会の記事でもくわしく紹介しています。
星と科学の目で『銀河鉄道の夜』を見る
『銀河鉄道の夜』は、少年ジョバンニが友だちのカムパネルラと銀河を走る鉄道に乗って旅をする物語です。賢治の童話の中でも最高傑作のひとつとされ、賢治は亡くなるまで書き直しを続けていたと考えられています。
この作品には、星や天文の知識がたくさん織りこまれています。国立天文台のサイトで公開されている読み物「銀河鉄道の夜空へ」(文・渡部潤一)では、作中で天の川の中に立つ「アルビレオの観測所」が、岩手県水沢の緯度観測所を、はくちょう座の二重星アルビレオにたとえたものとされていることが紹介されています。また、賢治が中学生のころ、星座の図を手に星空を眺めていたという弟の思い出も紹介されています。
つまり『銀河鉄道の夜』は、物語でありながら、理科の星の学習にもつながる作品です。鑑賞の前後に、はくちょう座や天の川の写真を見ておくと、子どもたちは舞台の中の「星の名前」に自分から気づくようになります。国語と理科、そして芸術鑑賞会が一本の線でつながる、賢治作品ならではの楽しさです。
学年別|事前学習・事後学習のアイデア
同じ賢治の作品でも、学年によって楽しみ方は変わります。目安として、こんな進め方が考えられます。
- 小学校低・中学年:事前に、賢治の作品に出てくる不思議な言葉や擬音語をいくつか声に出して遊んでみましょう。事後は、心に残った場面を絵に描き、「どんな音が聞こえたか」をひとこと添えるのがおすすめです。
- 小学校高学年:「やまなし」を学習した学年なら、事前に「賢治はどんなふうに光や水を言葉にしていたか」を振り返っておくと、舞台の表現と比べやすくなります。事後は、「舞台で一番『賢治らしい』と感じた場面」を選び、その理由を書いてみましょう。
- 中学生・高校生:事後に、ジョバンニとカムパネルラの旅が何を意味していたのかを話し合う時間をとりましょう。「本当の幸い」とは何かという作品の問いを、自分の言葉で考えることは、進路や生き方を考える学びにもつながります。
事前学習では、物語の結末まで話してしまわないことが大切です。「どんな世界の旅なのか」だけを伝えて、あとは舞台に任せるくらいがちょうどいいと思います。
賢治の物語を舞台で見るときの楽しみ方
賢治の物語は、場面が次々と移り変わり、現実にはありえない景色がたくさん出てきます。だからこそ、舞台では「どうやってこの景色を見せるのか」という工夫そのものが見どころになります。
たとえば、砂で絵を描いては消していくサンドアート(砂絵)は、形が変わり続ける賢治の世界ととても相性のよい表現です。描かれた星空が次の瞬間には別の景色に変わっていく様子は、物語の中の旅をそのまま目で追いかけるような体験になります。サンドアートそのものの楽しみ方は、サンドアートの芸術鑑賞会の記事で紹介しています。
「心」の銀河鉄道の夜は、砂絵(サンドアート)がある演劇です。またサンドアートショー・講演会では、サンドアートの実演に加えて、朗読とサンドアート、バイオリンの生演奏とのコラボレーションなどをお届けしています。
芸術鑑賞プロデュース会社「心」では、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をはじめ、名作の物語をもとにした演劇やサンドアートの舞台をご用意しています。国語や理科の学習とつなげたい、記念の年に賢治の世界にふれさせたいなど、学年や学校のねらいに合わせた演目選びについて、お気軽にご相談ください。
- 国立天文台「銀河鉄道の夜空へ」(文・渡部潤一/「銀河鉄道の夜空へ」制作委員会)
- 光村図書「教材別資料一覧・関連リンク 6年」(やまなし/[資料]イーハトーヴの夢)
- 光村図書「令和2年度版 6年」(「やまなし」の紹介)
- 花巻市「企画展「生誕130年 宮沢賢治展」開催のお知らせ」
※制度や事業の内容は、記事作成時点で公開されている情報をもとにしています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。






