
どうも、こんにちは!ロボットしずくです。稲川幸雄さんの演劇に参加したあと「劇団ロボットカンパニー」を立ち上げ、40人の仲間と舞台をつくってきた演劇人・パフォーマーです。今は芸術鑑賞プロデュース会社「心」で、学校の芸術鑑賞会をお手伝いしています。
今回のテーマは、和太鼓の芸術鑑賞会です。和太鼓は、音が耳だけでなく体全体に響いてくる、とても「体で感じる」舞台です。そして実は、小学校・中学校の音楽の授業でも、和楽器や日本の伝統音楽の学習が学習指導要領に位置づけられています。今回は、その授業とのつながりを確かめながら、和太鼓の鑑賞をもっと深く楽しむためのコツを、舞台をつくる側の目線から考えてみます。
和太鼓は「体で聴く」舞台
和太鼓の公演で、最初の一打が鳴った瞬間の客席の空気は独特です。大きな太鼓の低い音は、耳で聞くというより、床や空気を伝わって胸やおなかに届きます。私は、和太鼓の魅力は「音を体で受け取る体験」にあると考えています。
もうひとつの魅力は、演奏する人の体の動きがそのまま見どころになることです。ばちを振り上げる腕、踏ん張る足、打ち手どうしの呼吸の合わせ方。音楽でありながら、パフォーマンスとしても目が離せません。言葉の説明がなくても伝わるので、低学年から高校生まで、同じ舞台をそれぞれの受け取り方で楽しめるジャンルです。
狂言や落語など、ほかの伝統芸能との違いや共通点については、伝統芸能の芸術鑑賞会の記事でも紹介しています。
音楽の授業にある「和楽器」と伝統音楽の学習
和太鼓の鑑賞会は、学校の音楽の学習ともつながっています。文部科学省の資料から、いくつか確かめてみましょう。
- 小学校:平成29年改訂の学習指導要領では、それまで第5・6学年の旋律楽器として扱っていた和楽器を、第3・4学年の旋律楽器の例示にも加えたことが、文部科学省のQ&Aで説明されています。改訂の方針として、和楽器を含む我が国や郷土の音楽の学習の充実を図ることが挙げられています。
- 中学校:平成20年改訂の中学校学習指導要領では、和楽器の指導について「3学年間を通じて1種類以上の楽器の表現活動を通して」、我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わうことができるよう工夫することが示されていました。また鑑賞教材は、我が国や郷土の伝統音楽を含む様々な音楽の中から扱うとされています。
- 平成29年改訂の中学校の解説では、和楽器などを扱う際に、生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わい、愛着をもつことができるよう工夫することが、改訂の要点として示されています。
つまり和太鼓の鑑賞会は、単なる「楽しい行事」ではなく、授業で学ぶ和楽器や伝統音楽を、本物の音で体験する機会にもなり得るということです。音楽の先生と相談して、授業の流れの中に鑑賞会を置いてみると、子どもたちの受け取り方がぐっと変わります。
授業とつなげる事前学習のアイデア
和太鼓の事前学習は、長い説明よりも「音」と「リズム」から入るのが一番です。たとえば次のような方法があります。
- 口でリズムを唱えてみる:和楽器には、リズムや音を言葉にして唱える「口唱歌(くちしょうが)」という覚え方があります。「ドン」「カッ」など簡単な言葉でリズムを唱え、手拍子で打ってみるだけで、当日の演奏に耳がぐっと向くようになります。
- 太鼓の種類と打ち方を知る:大きさの違う太鼓があること、太鼓の面だけでなくふち(胴)を打つ音もあることを知っておくと、「今の音はどこを打ったのかな?」と聞き分ける楽しみが生まれます。
- 地域のお祭りを思い出す:お祭りで太鼓や笛のお囃子を聞いたことがある子は多いはずです。「どこで聞いた?」と問いかけるだけで、伝統音楽が自分の暮らしとつながっていることに気づけます。
どこまで話しておくかの加減については、芸術鑑賞会の事前学習の進め方もあわせて読んでみてください。
学年別|和太鼓の楽しみ方
同じ和太鼓の演奏でも、学年によって注目するポイントを変えると、鑑賞の深さが変わります。
- 小学校低学年:「いちばん大きい音はどの太鼓かな?」と、楽しみを一つだけ持たせます。手拍子で参加できる場面があれば、思いきり参加させてあげてください。
- 小学校高学年:「速くなるところ、ゆっくりになるところはどこ?」と、リズムや速さの変化に耳を向けさせると、音楽の授業での学びと結びつきます。
- 中学生:打ち手どうしが、どうやってタイミングを合わせているかに注目させてみましょう。合図や呼吸の合わせ方は、合唱や部活動のチームワークにも通じる発見になります。
- 高校生:日本の伝統音楽と、ふだん聞いている音楽との違いや共通点を考えさせると、音楽を多面的にとらえる力につながります。
体育館で和太鼓を見るときの準備
和太鼓は体育館との相性がよいジャンルですが、音が大きく、楽器も大きいぶん、学校側で確認しておきたい点があります。
- 搬入の経路:大きな太鼓を運び込むため、搬入口から舞台までの経路や段差を、事前の打ち合わせで共有しておくと当日がスムーズです。
- 客席の距離と並べ方:音の迫力を感じられる一方で、大きな音が苦手な子もいます。舞台からの距離を少し取った席や、出入りしやすい席を用意しておくと安心です。
- 周辺への配慮:音が体育館の外まで届くこともあるため、同じ時間に別の学年が授業をしている場合などは、時間割の調整も検討しておきましょう。
鑑賞のあとは、リズムを持ち帰ろう
和太鼓の事後学習で私がおすすめしたいのは、心に残ったリズムを、自分たちで再現してみることです。机や手拍子で、覚えているリズムを打ってみる。口唱歌で唱えてみる。うまくできなくても、「あの速さで、あんなにそろって打っていたんだ」と、演奏者のすごさを体で実感できます。
音楽の授業で和楽器を扱う学年なら、鑑賞会のあとに実際の授業へつなげるのも効果的です。本物の音を聞いたあとだと、子どもたちの音への向き合い方が変わってきます。
たとえば和太鼓・囃子 千代園 剛は、日本国内・国外で活躍する和太鼓と囃子の演目で、体育館・ホールでの公演に対応しています。
芸術鑑賞プロデュース会社「心」では、和太鼓をはじめ、演劇・音楽・伝統芸能・パフォーマンス・講演会まで20を超える演目の中から、日本の伝統音楽に触れられる舞台もご提案しています。「音楽の授業とつなげたい」「全校で伝統芸能を体験させたい」など、お気軽にご相談ください。
- 文部科学省「平成29年改訂の小・中学校学習指導要領に関するQ&A(音楽に関すること)」
- 文部科学省「中学校学習指導要領 第2章 各教科 第5節 音楽」(平成20年改訂)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 音楽編」
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