
どうも、こんにちは!ロボットしずくです。稲川幸雄さんの演劇に参加したあと「劇団ロボットカンパニー」を立ち上げ、40人の仲間と舞台をつくってきた演劇人・パフォーマーです。今は芸術鑑賞プロデュース会社「心」で、学校の芸術鑑賞会をお手伝いしています。
「命を大切にしよう」。学校で何度も聞く言葉ですが、言葉だけでは心の奥まで届きにくいこともあります。今回は、道徳で学ぶ「生命の尊さ」と芸術鑑賞会をどうつなげるか、学年ごとの見方と、重いテーマを扱うときの心への配慮について、舞台をつくる側の目線で考えてみます。
「命の大切さ」は、言葉だけでは届きにくい
「命は大切です」という文は、誰もが正しいと分かっています。けれど、正しいと分かっていることほど、子どもたちは「また同じ話だ」と受け流してしまいがちです。
私は、命の教育でいちばん大事なのは、答えを教えることより、自分で感じて考える時間をつくることだと考えています。目の前で生きている人間が、笑い、迷い、悩み、誰かを想う。その姿を同じ空間で見ることは、「命」という言葉に体温を与えてくれます。
芸術鑑賞会は、学習指導要領では特別活動の学校行事「文化的行事」にあたります。けれど、扱う作品のテーマによっては、道徳や人権の学びとも自然につながっていきます。命をテーマにした舞台は、その代表的な例です。
道徳の内容項目「生命の尊さ」を学年ごとに読む
小学校・中学校の「特別の教科 道徳」には、「主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること」というまとまりの中に、[生命の尊さ]という内容項目があります。学習指導要領の文言を学年ごとに並べてみると、少しずつ深まっていくのが分かります。
- 小学校第1・2学年:「生きることのすばらしさを知り,生命を大切にすること。」
- 小学校第3・4学年:「生命の尊さを知り,生命あるものを大切にすること。」
- 小学校第5・6学年:「生命が多くの生命のつながりの中にあるかけがえのないものであることを理解し,生命を尊重すること。」
- 中学校:「生命の尊さについて,その連続性や有限性なども含めて理解し,かけがえのない生命を尊重すること。」
低学年は「生きることのすばらしさ」から始まり、高学年では「つながり」、中学校では「連続性や有限性」へと広がっていきます。また小学校の学習指導要領では、教材の題材として「生命の尊厳」などを取り上げることも示されています。
この流れを知っておくと、芸術鑑賞会の演目を選ぶときにも「この学年には、どんな命の見せ方が合うだろう」と考えやすくなります。
舞台が「命」を伝えられる理由
舞台には、ほかの表現にはない特徴があります。それは、同じ時間を、同じ場所で、生身の人間と一緒に過ごすということです。
役者の息づかい、声のふるえ、沈黙の長さ。客席にいる子どもたちは、それを全身で受け取ります。物語の中の人物が苦しむとき、見ている側も少し苦しくなる。誰かのひと言で救われるとき、見ている側も少しほっとする。その「心が動いた」という体験こそが、命について考える入り口になると私は思います。
そしてもうひとつ。舞台の上で起きることは、二度と同じ形では起きません。今日の公演は今日だけのもの。その一回きりの時間は、それ自体が「限りある時間」を感じさせてくれます。中学校の道徳でいう「有限性」に、体験として触れられるのです。
たとえば僕の生きた時間は、SNSのいじめをテーマに、命と言葉の重さを考える舞台です。またひめゆりの花は、沖縄の地上戦を舞台に「命とは?」を問いかける演劇で、平和学習とあわせて取り上げることもできます。
学年別|命をテーマにした鑑賞の事前・事後学習
同じ「命」がテーマでも、学年によって届け方は変わります。道徳の内容項目の流れに合わせて考えてみましょう。
- 小学校低学年:「生きているってうれしいね」を感じられる、明るさのある舞台がおすすめです。事後は「舞台の人がいちばんうれしそうだったのはどこ?」と聞いて、絵とひとことで表すのも良い方法です。
- 小学校中学年:人だけでなく、動物や植物など「生命あるもの」に目を向けられるように。事前に「登場する生きものや人に注目してみよう」と声をかけておくと、見るポイントが生まれます。
- 小学校高学年:家族や友だちとの「つながり」が描かれた舞台が合います。事後に「この人がいなかったら、物語はどうなっていた?」と問いかけると、命のつながりを自分の言葉で考えられます。
- 中学生・高校生:いじめ、戦争、病気など、正面から向き合う作品も受け止められる年代です。事後には、感想を書くだけでなく、少人数で「自分ならどうしたか」を話し合う時間をとると、考えが深まります。
感想の引き出し方は芸術鑑賞会の感想文の書かせ方で、重いテーマの演劇と事前・事後学習のつなげ方は平和学習・人権教育と芸術鑑賞会でも紹介しています。
重いテーマを扱うときの、心への配慮
命をテーマにした舞台は、子どもたちの心を大きく動かします。だからこそ、学校側で準備しておきたいことがあります。
- 事前に内容を知っておく:先生が作品のあらすじや、つらく感じるかもしれない場面をあらかじめ把握しておくと安心です。演目の相談のときに、遠慮なく確認してください。
- 子どもたちの状況を思い浮かべる:身近な人を亡くした子、病気と向き合っている家族がいる子、いじめに悩んでいる子がいるかもしれません。必要に応じて、担任や養護教諭、スクールカウンセラーと情報を共有しておきましょう。
- 「感じ方は人それぞれ」と伝える:泣いてもいいし、泣かなくてもいい。言葉にできなくてもいい。感想を無理に全員の前で発表させない配慮も大切です。
- 見たあとに話せる場所をつくる:鑑賞のあと、「気持ちがもやもやしたら、いつでも話していいよ」とひと言添えるだけで、子どもたちの安心感は変わります。
心理カウンセラーによる弾き語りと講演のロボットのぞみは、家族・病気・命の大切さを、音楽と言葉で届けるステージです。演劇とはまた違ったかたちで、命について考える時間をつくることができます。
芸術鑑賞プロデュース会社「心」では、演劇・音楽・伝統芸能・パフォーマンス・講演会まで20を超える演目の中から、道徳の「生命の尊さ」や人権・平和の学びにつなげやすい演目をご提案しています。学年や子どもたちの様子に合わせた演目選び、事前に確認しておきたい内容についても、お気軽にご相談ください。
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